ちょっと面白い本を買ったのでご紹介。
増補版 シーリングワックスの本: 基本の使い方からアレンジ法まで
「シーリングワックスの本」というそのものスバリなタイトルの本です。
「シーリングワックス」とは、まだのりやテープなんて便利なものが無かった頃、手紙に封をする時に便箋や封筒に蝋を垂らしてスタンプ(印鑑)を押したものです。中世を題材にした海外ドラマや映画によく出てくるので見たことのある人も多いかもしれません。それ以前の古代では西洋でも東洋でも泥を塗ってスタンプを押し封をしていたそうですが、時代を経るにつれ西洋ではそれが蝋になり、東洋では朱肉や墨を使ったものになったのだとか。なので現在日本で使われている印鑑とも関連があると言えます。
本書はこの「シーリングワックス」の使い方から必要な道具、さらにちょっと変わった活用方法までを広く紹介・解説した本です。シーリングワックスどころかもはや紙の手紙を書くこともなくなった今読むとむしろ新鮮で、読み進めるごとに
シーリングワックスを使うために何か紙を使いたくなるという本末転倒な欲求が沸々と湧き上がってきました。
面白かったのが、筆者が海外から入手したという様々なシーリングワックス関連グッズの紹介です。
シーリングワックスは、蝋を直接火で炙ったり、スプーンにのせてアルコールランプなどの熱で溶かしたりと直接火を使うのが面倒&危険ですが、これは両面テープで貼ってドライヤーで溶かしてスタンプを押すだけというお手軽且つ安全なもの。なんて上手いことを考えたんでしょうか。まさにアイデア商品!最初からいい感じの円になっているのも( ・∀・)イイ!! 蝋が流れていびつな形になったらテンション下がりますからね。
これはスプーンで溶かす用の細かいビーズワックスなのですが、一つ一つの形がハート型になっています。これなら可愛くてシーリングワックスを使わない人でも勢いで買ってしまうかもしれません。特にいろいろな色が混ざっているのがお得感あり。
あと興味深かったのは、シーリングワックスをゴージャスに見せるアレンジ法です。
複数の色の蝋を調合して自分の好きな色を作ったり、さらにそれらを敢えて不均一に混ぜてマーブル状にしたり…
蝋が固まる前にラメをふりかけたり…
蝋の上にものるインクを使って特定の部分にだけ色を付けてみたり…
他にも「
蝋にアロマオイルを混入して香り付きにする」など、よくぞ思いついたもんだと感心してしまう様々な工夫が紹介されています。こういう楽しみ方ってメールやメッセージングアプリでは絶対できないアナログならではの良さですね。
とは言え、実物の手紙や紙の書類などを使う機会がどんどん減っている現在、当然ながら日常に於いてシーリングワックスを使用する機会も減っています。それを考慮してか、巻末には「シーリングワックスをモチーフにしたグッズの作り方」も掲載されています。
カードホルダーのアクセントとして使用してみたり…
オーブン粘土にスタンプを押して”シーリングワックス風”のストラップやボタンにしたり…
アートクレイシルバーにスタンプを押してシーリングワックス風のシルバーペンダントを作ったり…
木製ピンチをデコったり、キーホルダーにしたり、画鋲にしたり…
シーリングワックスのように見えればOKなので、何が何でも蝋を使わなければならないわけでもないんですね。ここら辺を読んだ時にはもう本気でシーリングワックスをモチーフにした作品を作りたくて堪らなくなってしまいました。というか多分作ります。 とりあえずスタンプを自作するところから始めるか…
今でも紙の手紙を結構書く、または結婚式のアイテムを自作する、手仕事や手作りが好きという人ならきっと楽しめる本だと思うので是非読んでみて下さい。シーリングワックス用品を買えるお店のリストとかも載ってます。
というか今時Amazonでもシーリングワックスのキットなんて買えるんですけどね。
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