このお店の何が凄いのか?それは…
日本のメーカーの品揃えが半端なく充実しているのです。扉に扱っているメーカーのステッカーがベタベタ貼られていたのですが、「Kyosho」のロゴがあるのが見えるでしょう。他にもタミヤ、フジミ模型、ハセガワの商品も取り扱っていました。人口550万人の北欧の国の、しかも地方都市でこの充実っぷりはちょっと凄くないですか?さらにフィンランドはEU圏内。つまり欧州の模型メーカーの商品も一通り揃っているのです。スケールモデル、それもジオラマを作っている方なら「ドイツのあのメーカーの商品がもっと手軽に安く買えたらなあ…」なんて思うこともあるでしょうが、それがここには揃っています。
私が「ここは本格の店だ!」と確信したのはこちらの棚。これは無発泡ウレタン樹脂(キャスト)などのレジン系の棚なんですが、この店が独自に1kgの缶と小瓶にクリスタルレジンとその硬化剤を”小分け”して売ってるんですね(左の青いラベルが貼られてるやつ)。ただ市販の商品を仕入れて並べているのではなく、本来なら業務用として大きな容量で販売されているような材料も一般人が買いやすいように独自に小分けセットにして売っているというわけです。こういうことをしている店は信頼できます。
ここは一応模型店でプラモデルや鉄道模型、ジオラマ製作に必要なものやそのキットを販売しているんですが、それ以外の材料も所狭しと並べています。なぜか折り紙もあり。
しかし圧巻なのはタミヤの品揃え!もちろんタミヤも海外展開しており、ラベルや注意書き、説明書を多言語にした海外市場向け商品をリリースしていますが、それらに加えて日本向け商品も取り寄せて一緒に棚に並べているのです。まあそのため日本語のまま売られているんですがお客さんは大丈夫なんですかね?もう日本語云々関係なく使い方や作り方を完全に熟知しているガチなモデラーが買ってるとか?いずれにせよこんなに並べているということはちゃんと売れているってことなんでしょう。タミヤに限って言えば品揃えの豊富さはヘルシンキの「Hobby Point」よりもこちらの方が上です。
時計の針とムーブメントだけ別売りされているのも良いし、針のデザインもまた良い!タンペレはつくづくアンティーク調&スチームパンク好きに優しい風土ですね。
アクセサリー資材も一通り揃ってます。小売りなのに価格が浅草橋とだいたい同じ相場!
こちらは塑像に必要な材料をまとめている棚で、油粘土、水粘土、ブロンズ粘土、小麦粘土、蜜蝋、使い捨ての型取り剤「アルジネイト」、小分けされた粉末石膏、プラスターバンテージ(ギプス用に包帯に粉末石膏がまぶされたやつ)が並んでいます。つまり!アルジネイトとプラスターバンテージと石膏があるということは、特殊メイク&特殊造型用の人体型取りも可能ということ!ちなみにこの棚には小分けされる前の40kg袋の石膏もそのまま売られていました。街のお店で石膏40㎏を買えるってなんて頼もしいんでしょう!
そしてこちらは…棚全部が樹脂粘土!FIMOの各色はもちろんのことスカルピーもバッチリあります。ヘルシンキでスカルピーを衝動買いしてタンペレまで持ってきたというのにタンペレでも普通に売ってたwww もうフィンランドは彫刻天国ですね。
仮面の土台は一枚2ユーロという激安っぷり。自分の彫刻するのがアホらしくなりますね。フィンランドに移住したら仮面なんて作り放題ですよ。
レイテックス(液体ゴム)もあった!油粘土があって、アルジネイトがあって、プラスターバンテージもあって、石膏もあって、その上レイテックスまで揃ったら、もう最低限の特殊メイク&特殊造型の作業ができてしまいます。
もちろん型取り用のシリコンもあったのですが、それに加えて既製品の両面シリコン型まであったのには驚きました。これは戦場を再現したジオラマ製作でたくさん必要になる「兵士」のフィギュアを自分で好きなだけ複製できるシリコン型。フィギュアのモールドはもちろんのこと湯口まであらかじめ切られており、後は輪ゴムかテープで両面を合わせて固定しキャストを流せば即量産可能です。種類も、馬に乗った第一次世界大戦前までの昔の兵士から大砲とセットになった兵士、銃を構える兵士、ただ普通に立ってる兵士などポーズも様々。っていうか海外では両面型も市販されているんですね。
この他にも壁一面、天井ギリギリまでプラモデルが押し込まれ、積み上げられていたのですが、私がいる間ひっきりなしにお客さんが出入りし、そこであまりバシャバシャ写真を撮りまくっても迷惑になるかと思い慎みました。それでもこれだけ撮っちゃったけど。とにかくこの店さえあればモデラーはツール、材料を一切持たずにタンペレを訪れても滞在中に何か作品1つを作ることができます。私は「この店さえあれば来月からタンペレに引っ越せと言われても生きていける!」と本気で思いました。というかもう移住してしまいたい。
なお、この記事を書くにあたり改めて同店のサイトをチェックしましたが、なんでも創業1958年のフィンランド最古のハンドメイド材料店とのこと。1958年って海洋堂より老舗ですよ(海洋堂は1964年創業)。フィンランド最古のハンドメイド材料店がタンペレにあるというのも、それだけこの街の人は昔から何かを作ることを趣味にしていた人が多かったという現れなんでしょうね。ということでモデラーの方はタンペレ訪問の際は是非この「Harraste」に行ってみて下さい。タミヤ商品のあまりの品揃えの良さに「ここって本当にフィンランド?!」という気分になるでしょう。
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