今日はこんな作業をしました。
これは「日焼け絵文字りんご」のマスキング作業です。
「日焼け絵文字りんご」とは、栽培中のりんごに絵や文字を象ったシールを張り付けて日光によるりんごの皮の着色を遮断し、その絵や文字を白抜きにさせる手法です。既に青森県ではこの手法を使ったビジネスを行なっている果樹農家がたくさんあり、最近では2011年に七福神と松竹梅をあしらった日焼け絵文字りんごのセットが10万円の高額で競り落とされ話題となりました。まあそんな農家はデザインの受注も受け付けてシールから自作しているだろうから、りんごそのものの値段以上に「デザイン料」と「技術料」「工賃」が含まれていると考えれば妥当な価格ですけどね。
そこで調べてみたのですが、青森県の農家が作っている主な日焼け文字りんごは「寿」とか「祝」「合格祈願」なんて文字や鶴亀、七福神、招き猫の絵など所謂”縁起物”のデザインがほとんどです。ところが不思議なことにハロウィンモチーフの絵や文字がまるでないのです。実は日本ではまだあまり知られていませんが、ハロウィンに於いて重要な農作物はカボチャだけではありません。りんごもカボチャと同様にハロウィンにとって欠かせない農作物です。
もともとハロウィンは古代ケルト人の正月に相当する祭りで、ケルト人が古代ローマ帝国に吸収合併されていくと共に古代ローマの祭り「ポーモーナ祭」と融合していきます。ポーモーナとは樹木と果実を司るローマの女神で、古代ローマの宗教観では果物の中でも特にりんごが人間と神とを結びつける果物として重要視されていました。ちなみに古代ローマの宗教は多神教で、その宗教観は日本とよく似ており、「神様はたくさんいればいるほどありがたい」と吸収合併または征服した異民族の神々を全部ローマの神々に足していき、遂にはローマの神々が70万種類以上になったという逸話があります。そういえば「ローマ人の物語」で有名な作家・塩野七生氏は「私はローマに住む日本人なので合計870万種類の神様がついている」と言っていたっけ。なお、こうした古代の多神教はユダヤ教・キリスト教・イスラム教が出現するに伴い尽く駆逐されていくのですが、キリスト教は布教のため巧みに古代の多神教の行事を取り入れていき、現在ハロウィンはキリスト教圏のイベントということになっています。
で、欧州やら北米やら”ハロウィンの本場”と言われている地域でのハロウィンパーティにおける定番ゲームは”ダック・アップル(Duck Apple)”とのこと。遊び方は簡単で、大きなタライやビニールプールに水を入れて、その中にたくさんのりんごを浮かべ、参加者はそのりんごを手を使わずに口にくわえて取るというもの。りんごを丸ごとくわえるのは物理的に不可能なのでおそらく茎部分を歯でくわえるのだと思いますが。あとダッシュして糸で吊るしたりんごをくわえるパン食い競走のりんご版とかもやるそうです。今気づきましたが海外で流通しているりんごは日本のものよりも小型なので、口がデカい奴なら丸ごとくわえることも可能かもしれません。
私は常々「日本の果樹農家はもっとハロウィン便乗商法をすりゃあいいのに」と思っていたのですが、まだどこもやっていないようなので自分でやることにしました。今日マスキングしたりんごは「スターキング」という、真紫でまるで毒リンゴのような外見になる品種なので、もし上手く行けばかなりハロウィンな雰囲気の「日焼け絵文字りんご」になるはずです。今年はとりあえずお試しということで30個ぐらいでやってみて、もし上手くいったら来年以降もっとちゃんとやるつもりです。
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