この一週間、透明粘土「すけるくん」で義眼を作る実験をしていました。もともと義眼作りは専門学校時代の2年生の授業で習っていて作り方は心得ているのですが、その手法だと一個作るのに時間がかかる上に失敗のリスクも高いからです。というのも強化プラスチック「FRP」を使うから。
FRPとはユニットバスやボートのボディ、カプセルホテルのベッドなどに使われている素材ですが、特に透明度の高い「クリアー」も存在します。 これの利点はとにかく安いこと。上記のクリアータイプだと工業用の一斗缶で買って2万551円!20kg入っているから割ると1kgあたりなんと990円!UVレジンと比べたらあり得ない安さ!キャスト(無発泡ウレタン樹脂)よりも安い!ということで特殊造型系ではよく使われる素材です。ところがこれ、「
硬化剤を入れ過ぎると発熱して煙が出て最悪の場合燃える」という危な過ぎる難点があります。なので学生時代は「煙が出たら水にブチ込む」という豪快な対処をしていました。あと発熱の影響で硬化後の色がなぜか紫色に変色したりクラックが入ることもあり。なのに硬化剤を入れる%なんてあって無いようなもので、その日の気温や湿度によって微妙に変わり、説明書どおりに硬化剤を入れても一向に固まる気配が無い…なんてこともザラ。かといって硬化剤をたくさん入れると発熱する…とコツを掴むのがとても難しい素材なのです。
まあ義眼なんて透明な素材であれば作れるものなので、FRPよりも安全な樹脂系素材で作ればいいのですが、キャストのクリアーは硬化は早いものの透明度が低いうえに紫外線による黄変が激しく、エポキシ系樹脂は完全硬化するまでの時間が長すぎる(12〜24時間とかザラ)、UV樹脂は硬化が早いけれども単価が高い…といずれも一長一短あり、「これ」という樹脂が見当たりません。
そこで、透明になる粘土ではどうかと試してみたのですが…
どう見ても失敗だろこれ
残念ながら私の作り方では「すけるくん」はダメでした。ちなみに白目にたくさんホコリが入っているように見えますが、これは毛細血管を表現するためにわざわざ入れた繊維です。紐の切れっ端を細かく切って「すけるくん」に混ぜました。
「すけるくん」は乾燥すると透明になる便利な粘土ですが…
・粘土なのでこねる際にどうしても気泡が入る
・乾燥の際に体積が収縮する。量が多ければ多いほど収縮率も高い
・一応透明にはなるが樹脂と比べるとどうしても透明度は低い
・完全に透明になるまで時間がかかる
という難点があります。これならエポキシ系樹脂の完全硬化を待つ方がまだいいわ。私は「すけるくん」は花びらなど薄く伸ばして成形するものに向いていると思いました。厚さが2mm以上になると完全乾燥までに時間がかかって作業どころではありません。
でもせっかく作ったので上記の実験義眼は何かには使おうと思っています。瞳部分もいつかは完全乾燥すると思うし。
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