先週、3331 Arts Chiyodaにて開催中の「竹谷隆之の仕事展」に行ってきました。


竹谷さんの作品80点とデザイン画が展示されていたのですが、あまりにも素晴らしく、あれこれと語ることすら野暮なのではないかと思えるくらいです。何より凄いのは、作品を360度どの角度からも見られる状態で展示されており、さらに
写真撮影がOKだったことです。なんと太っ腹!竹谷さんの写真を撮影し放題でたったの1200円(大人当日券)なんて。というわけで平日にも関わらず多くのお客さんが訪れていました。客層も結構幅広く、おっさん、おばさんから学生と思しき若者まで様々な年齢層が熱心に作品を見ていました。あと外国人のお客さんが「Awesome!」と連発してばかりだったのが何気に面白かったです。まあ言葉を失うのも分かるw 詳しいレポートとか感想とかは
英語ブログの方に書いたのでそちらをご覧下さい。
ここでは全体的な展示についての感想を書こうと思います。
この展覧会はただ作品を展示するだけでなく、タイトルどおり様々な角度から竹谷さんの仕事ぶりが垣間見られる内容になっており、上記のように製作中のダイジェスト動画コーナーも設けられていました。これがもう凄い!デザイン画を描くところから彫刻、塗装、仕上げまで全行程が紹介されているのですが、そのどれもが神業!しかし竹谷さん自身の雰囲気は別に”凄いこと”をやっている感じではなく、常に淡々としているのです。これは彫刻に限らず一流の人に共通する特徴なのかもしれませんが。
ちなみに動画はYoutubeでも公開されています。
あと、完成品だけでなくこのような原型や制作に使用した小道具的なものも展示されていました。

ガレージキットとして複製するために型取り段階で壊れてしまった原型達。仕方が無いとはいえ勿体無い…しかし破損した断面からアルミ線とエポキシパテの芯の上にスカルピーが盛られている様子が分かりとても興味深いです。

あとはこんな細々とした半面型の原型とか。こういう簡単に型取り・複製ができる半面パーツをたくさん作っておくと早く凝ったディティールの作品が作れるというわけですね。見てると、「あ!このディティールはあの作品の!」と分かって実に面白いです。

これはハンダ線を使った半面パーツ。竹谷さんの製作記事にはよくハンダ線を使用されていることが書かれてあるのですが、こんな感じに使うこともあるんですね。

この皮を剥いだ感じがw
そして圧巻だったのが、最近改訂版が出版された「漁師の角度」のコーナー。








この一角がなんとも味わい深い。おそらく竹谷さんが製作にあたり取材されたのでしょう、北海道の写真やアイヌ語&方言のメモに混じって作品写真やスケッチが展示されています。こうして見ると、「漁師の角度」の風景や人物達が本当に存在しているのではないかという錯覚に囚われます。



これもまたいい感じ!汚しが本当にリアルです。トラバサミも本物がベースになっていますがところどころディティールアップされていて、それがまた最初からその形状だったのではないかというくらい自然。「漁師の角度」の主人公であるカネヒサじいさんの存在をリアルに感じることができる展示です。まさしく”拡張現実”。
なお、私は「漁師の角度」のオリジナル初版本を持っているのですが、内容自体がかなり変更されているらしいのでまた改めて改訂版を買おうと思います。
漁師の角度 完全増補改訂版

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